
家庭教師 奈良のメリット情報
二○○八年三月に経営が悪化したベァー・スターンズがJPモルガン・チェースに買収された。
その際にベァー・スターンズから不良資産をいったん切り離すための特別会社を創っている。
その会社に三百億ドル相当の不良資産を移管しているが、この資産を担保に連邦準備制度(FED)は、二百九十億ドルをノンリコースローン(借り手は債権全額の返済責任を負わない)形式で融資し、残り十億ドルはJPモルガン・チェースが負担している。
つまり、JPモルガン・チェースは損をしても最大十億ドルだが、残りの損はFED、すなわち納税者が負担するということだ。
「ウォール街は納税者を人質にするのが、本当に上手だ」と人は言う。
ワシントンと結託なぜこのような措置を行うことができたのだろうか。
先に述べたように、彼らは納税者を人質にとるのがうまいからだが、今回はそれが非常に巧みだった。
これまで、アメリカでは商業銀行が破綻する際に、「小口の預金者を救済する」という理由で国民を納得させ、納税者のお金が使われることはあった。
預金金融機関だからだ。
しかし、今回破綻したベァー・スターンズは投資銀行である。
しかし、クレジット・デリバティブの残高が極めて大きく、破綻するとシステミック・リスクが大きいと言って救済してしまった。
投資銀行は連邦準備銀行の指導や検査を受けることはなく、また商業銀行に課される自己資本規制もない。
投資銀行の自己資本に対する総資産の比率は、商業銀行に比べると最大で四倍程度大きいが、それだけのレバレッジをかけて、収益を追いかけているといえる。
つまり、常に高いリスクをとって経営している金融機関なのだ。
またベアー救済に関連して、連銀がこれだけの資金手当てをせざるを得なくなっても、同社の経営者は過去の巨額の報酬を返上したわけではない。
JPモルガン・チェースが一株十ドルで株を買うことになったときも、ベァーの経営者は売却益を自分の懐に入れている。
もちろん、今のところはまったくのお咎めなしである。
議員や一般国民はそこを怒っているのだ。
「救済するにしても、その前にやるべきことがあるのではないですか」というしごく普通な怒りだ(もっとも、同社のファンド・マネージャー二人は投資家に対して偽りの説明をしたとして、○八年六月にFBIに逮捕された)。
これは日本に較べても「大甘」の処置である。
日本では旧長銀など破綻した金融機関の責任者は、株主代表訴訟を受けたり、もしくは善管注意義務違反に問われ、支払いきれないような損害賠償を請求された(現状では長銀に関しては無罪、日債銀に関しては有罪となっている)。
しかし、アメリカでは今のところは「逃げ勝ち」である。
それはベァーの経営陣に限らない。
サブプライム問題で、株主に大損をさせたシティグループ、メリルリンチなどの引責辞任したCEOも同じである。
株主は大損し、両社のCEOは、二人合わせて約二億ドルの退職金を持っていった。
まだ破綻こそ免れているが、その寸前にある銀行はアメリカやヨーロッパにいくつもある。
そんな事態を招いたのは、国でもなく、納税者でもない。
彼ら自身である。
自分たちが儲けることしか考えないで、調子に乗って手を広げたビジネスで演じた失態が今日の危機を招いているのだ。
その証としてアメリカでも、ノースウェスタン・ミューチュァル・ライフはサブプライムローンの総資産に占める比率は○・六%以下であり、彼らが持つ四つの最高格付けはまったく揺らいでいない。
同じ保険会社でも破綻し政府に救済されたAIG(全米最大)とは大きな違いである。
このように超健全経営をすることも全く問題なく、可能なのである。
現在は、自分の意思でハイリスク経営をした銀行の資金繰りを助けるために、連銀や世界の中央銀行が市場に資金を供給して面倒まで見ている。
私自身、同じ金融の世界で、ウォール街でビジネスを行っているが、いったいどこまで強欲な連中なのだろうかと、考えれば考えるほど「世も末か」と心配になる。
ウォール街とワシントンとは、昔も今もしっかりと結託している。
政府の高級官僚は、退職すると、こぞって投資銀行やプライベート・エクイティー・ファンドに迎えられ、大金持ちになる機会を与えられる。
また、政府は元投資銀行家を高級官僚や海外公館大使などに採用する。
先に述べたとおり、彼らは「タックス・ホリデー」を貰う。
投資銀行やプライベート・エクイティー・ファンドの幹部は、こぞって大統領候補の選挙応援に参加し、各地で寄付金募りの夕食会などを催す。
この政治権力と金融権力の結託は余りに強固であり、これを壊すことはほとんど不可能なようにさえ思える。
アメリカで崩壊した「住宅バブル」の芽は、グリーンスパン前FRB(連邦準備制度理事会)議長時代に形成された。
グリーンスパンは同時多発テロが起きた二○○一年九月に、FFレート(アメリカの代表的な短期金利で、銀行同士でお金を貸し借りするときの金利)をそれまでの三・五○%から三%に引き下げ、十二月までの三カ月間で一・七五%まで低下させた。
その後も金利は低下傾向を続け、○三年六月には一%にまで下がっている。
このころから、アメリカの住宅価格は急激に上昇し始める。
○四年六月にFFレートは上昇に転じたものの、一回の引き上げは○・二五%ずっときわめて緩慢で、○六年六月の五・二五%まで、利上げは実に十六回にも及んだ。
この間にサブプライムローンが激増して、「住宅バブル」は大きく膨らんだ。
グリーンスパンの後を継いだバーナンキFRB議長になって、サブプライム問題が表面化し、住宅バブルが崩壊すると、今度は金利が再び急激に引き下げられている。
○七年九月に金利は五・二五%から四・七五%に下がり、○八年八月時点で金利は二%で、わずかこの間にアメリカの産業はどうなったのであろうか。
アメリカのGDPの七○%は個人消費である。
消費者の大きな買い物といえば住宅、自動車、家電だ。
住宅は、返せない金で借りた住宅の担保流れ(フォークロージャー)が猛烈に進み、現在一年分以上、百万戸を超える在庫が溜まっている。
例えば、カリフォルニアの新興住宅地の中には、街中の家が担保流れとなって空き家になり、芝生は枯れ、プールにはボウフラが湧きウエストナイル病の伝染が心配されるなど、まるでゴーストタウンのようなところが散見される。
GM、フォード、クライスラーのビッグスリー三社は、すでに衰弱の一途を辿ってきたが、「住宅バブル」崩壊と原油高の影響をもろに受けている。
アメリカ景気が後退局面にあることから、自動車販売市場は年間一千七百万台から一千三百万台程度にまで著しく縮小している。
このため各社は一部工場の閉鎖や人員を削減して縮小均衡点を模索している。
またSUVを中心に「ガソリンがぶ飲み車」は人気が急減し、中古車価格が急落した。
一年で三・二五%も低下した。
そして、またしても大量のお金が市場に流れ、過剰流動性が供給されている。
この資金は原油や穀物市場の投機資金となって俳個しインフレを加速ウォール・ストリート・ジャーナルは、北米の自動車部品メーカーの三分の一が倒産の危機にあると報じた。
その縮小する市場でシェアを伸ばしているのは小型で燃費の良い車を製造している日本や韓国の自動車メーカーだ。
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